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すがゆうです。JOHNNYPARKというバンドでvo、あとDjもたまにやります

リズと青い鳥

リズと青い鳥 という映画を見に行きました。

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liz-bluebird.com

新潟にきて一か月半。東京にいても新潟にいても何も変わらない。そう思って新潟に来ましたが、やっぱだいぶ変わるもんで・・・まあ仕方ないとは思いますが。そんな中でもリズと青い鳥は新潟でもやってた!よかった。。。一か所で、しかも今日自分が見たころには一日一枠な上に日曜なのに人かなり少なかったけど・・・

しかもこの映画を私が見たころには既に放映開始から時間も経っているので、個人的な周りの人たちもそこそこ意見交換をそれぞれに済ませて「素晴らしい作品だった」というような状況ではあると思う。

基本的に普段はアニメの感想などはTwitterで行っている。その時の率直な気持ちなどは、時間と共に流れていくタイムラインの方が臨場感があるし、都合がいい。

しかしこのリズと青い鳥はそんな率直な表現を嫌うような、「言語化に困る」作品だったのだ。

それでも気持ちが冷めないうちにこのブログで感想を吐き出したいと思う。

 

まず

響け!ユーフォニアム(以下:ユーフォ)という高校の吹奏楽部を舞台にした青春アニメがある。

tv.anime-eupho.com

部員たちの葛藤や様々な想いと頑張りを描き、黄前久美子ちゃんふとももぺろぺろ先輩後輩の軋轢や進路への葛藤や黄前久美子ちゃんふとももぺろぺろペロォッ!……とても素晴らしいアニメでしたが、その登場人物の中でも二期でかなりキーとなった二人を主役にした映画が今回の「リズと青い鳥」。

時間軸でいうと二期が終わった翌年度の夏になるため、それぞれの成長した姿も見れるわけで楽しみだった。

 

そんな感じで始まったのだが。。。

最初は「え・・・誰?」と思った。

キャラクターデザインが、ハルヒ池田晶子さんから聲の形西屋太志さんに変更になっていた。ユーフォ本編での池田さんの作風も好きだったし、表情も色つやも最ッッッッッッ高だったのだが、今作はこの西屋さんのデザインが作品の繊細さというか、生々しさに拍車をかけており、とてもとても素晴らしかった。

何よりスカート丈が長くなってるんですよ・・・これが作品の清潔感というか純真無垢な世界観を一気に増した。特に剣崎梨々花のあの性格でこのスカート丈の長さに痺れているんです私・・・・・・・・・・・

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とはいえ池田さん時代にも多くあった私も大好きな「机と椅子の間アングル」は健在でうれしかったり、細かい表情がすごく繊細に描かれていて、演技としっかり混ざり合っていたことに驚いた。

 

感想としては

とにかく素晴らしいの一言に尽きるよ・・・

みんな言ってるけど、言いたいことありすぎて言葉が出てこない。つまるところ見た自分たちがみぞれそのものにされちゃったんだよね

 

2人の性格真逆の親友同士の葛藤と愛故に生まれる歪みと、それを美しい絵本の世界観に重ね合わせて濃密に描いてくれている。「尊さ」という部分を助長させるための間の取り方、不必要ながら心情にリンクするノイズカットの取り方、すれ違う二人を描く美しい不協和音を演出する牛尾憲輔さんの完璧な劇伴。。。そのへんの日常系アニメなら1話で済んでしまうような内容をじっくり、濃密に描くことで二人の距離感と葛藤のぶつかり合いと、結果残した答えまでの道程を固唾をのんで見守ることができる作品。

”百合”という言葉の本質を見たし、世間的な”百合”で片づけるにはあまりに深い作品だと思う。

 

 

さて、ここから先は映画の内容も踏まえて書きたいと思います。

平たく言うとネタバレです。お気をつけください

 

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映画の内容としては、「リズと青い鳥」という絵本を題材にした4部構成の楽曲を演奏することになり、それぞれソロパートのある親友同士の高校三年生のふたりがその作品に魅入られ、「このリズと青い鳥の構図、私たちみたいだね」と言い合うが、それに照らし合わせて自分たちの現状、これからを考えていった結果複雑な心境やすれ違いを生み、そこからこの曲と本と本人と向き合っていく・・・という物語だ。

 

おおまかに説明してもこんなにもシンプルな内容で、そもそもユーフォは黄前久美子という主人公を置きながら部に携わる色んな部員の心情が交差することで物語に深みとリアリティを生んでいった作品なのに対して、今回のリズと青い鳥に関してはあくまで2人にフォーカスを絞り、その友情とその歪みについて描いているため、各シーンの持つ情報量などはおのずとわかりやすく、減っていくはずだった・・・

 

しかしなんだこれは・・・?

山田尚子監督はガスヴァンサントなのか????

 

ガスヴァンサント:アメリカの映画監督で、2002~2005年に「生命」にフォーカスをあてたマイナー向けな映画を3作発表しており、どれも場面を細かくカットしすぎず実際のスピードと同化させたシーンを多く入れることで実際に同じ時間を体感させ、生々しさを増長するような演出を多くとっていた。すがゆうの青春時代にめちゃくちゃハマった3作でもある。

 

みぞれが歩くシーン、考え事をするシーン。希美との テンポの差、性格の差、お互いの距離感、お互いの関係性・・・全てを対比させながら1日の1シーンをくっきり切り取って見せる。自分の思いがはっきりせず、はっきりしている部分はなかなか伝えられず、具現化できずにいる部分は本の中の世界の描写が語ってくれる。気づいたら視聴している自分たちも、みぞれと同じリズムを体感し、しだいにその空気は張りつめて呼吸は苦しくなっていく。それに呼応するようにすがゆうは尿意を感じ、そわそわとし始める。そんな空気感を癒してくれる存在が剣崎梨々花だ。同じオーボエ奏者唯一の先輩であるみぞれの才能に溢れ、いつも一生懸命な姿に心酔し、距離を何度も詰めようとする姿がとてつもなく健気だ・・・みぞれのリズムの世界に取り込まれている我々からすれば天使のような存在だ。すき・・・

あー…けんざき…すき…

つまり

そのようにみぞれのリズムに視聴者を取り込み陰キャ界」のリズムに目線を合わせ、希美の住む世界を陽キャ界」として少し鼻につくように描いているように思えた。

しかしそれがあるシーンで明らかにベクトルを歪ませていった。

 

新山先生がみぞれに音大を勧め、それを希美に伝えたシーンからだ。

その瞬間から、みぞれは何度も「希美が行くって言ったから音大に行く」という発言をするようになる。ここから視聴者はみぞれタイムから解放される代わりに、周りの人と同じモヤっとした気持ちに包まれるようになる。ここの表情や間の演出が最高すぎるんだよな。。。。。幹部4人で集まってみぞれがピアノを弾くシーン。ここでも音大発言が優子、夏紀、希美を凍り付かせる。ここからの2人を取り巻く人間模様、葛藤の様子はとてつもなく良かった・・・希美がみぞれを引っ張っていく構図がどんどん崩れていく。リズに感情移入してはより希美への依存を強めるみぞれと、自分の立ち位置やこれからが定まらず、なんとなくの着地点ばかりを考えてふわふわする自分とみぞれを重ねてモヤモヤする希美。ハグしてお互いのいいところを言い合う文化・・・に関しては「ええ。。。これこの二人にやらせるのクライマックスにする気満々じゃん・・・」と勘ぐってしまったりはしたが、これをするしないを利用したもどかしいシーンの演出は本当ヤバかった。

リズと青い鳥の立ち位置が、みぞれと希美で逆転していくことに関しては、音大の勧めがあったあたりから感づいてはしまったが、それを表現するクライマックスはとてつもなく度肝を抜かれた。あのオーボエとフルートの掛け合いに込められた感情・・・本当すげえよ・・・このシーンで私は泣きました。結果みぞれは、自身で気づいて、自身で答えを見つけてしまった。結果答えを見つけたみぞれは、青い鳥として飛び立ち、さらにリズとして希美を鳥かごから解放する。希美は自分が持っていた黒い部分を吐露し、みぞれとの対比ではなく、自分に正直になっていく。

すがゆう的見解からいうとリズも青い鳥もみぞれだった。って感じがします。

 

ここまで濃密に描かれるともうなんていうか、百合だとかそんな気持ちではいられなかったですね。そもそも百合だ!って騒ぐこと自体自分はあまり好きではないんですが、それは自分の身近な存在に同性愛者がいたり、そいつの葛藤とかも身近にみてきたのもあったし、あとは私のとても好きな作品に青い花という女の子同士の純粋な恋愛を題材にした作品があって個人的には百合というテーマでいえば青い花を超える作品はなかったのですが、「リズと青い鳥」はそこに迫るレベルだった。何より直接的には同性愛としては描いていないから超える超えないの話ではないんだけど・・・

もしリズと青い鳥の純真無垢な愛憎に心打たれた方は、是非青い花もアニメ化しているので見てほしい・・・というかもう見てるか。見てるにきまってるよな。

 

てな感じで終始固唾をのんで見守った映画。頭からケツまで最高でしたね・・・

 

要素の話をすると、

牛尾憲輔さんの劇伴、EDが素晴らしすぎて驚いた。正直ユーフォの続編でエレクトロニカが初っ端から流れるのが予想外だったし、みぞれのリズムに陶酔するうえで変拍子、不協和音交じりの楽曲は希美に依存するあまり心が追い付かないみぞれと、希美との距離における空気感そのものだった。そしてこのみぞれと希美のやり取りそのものを表現するものとして、ラストに流れたPixiesのような(日本でいうとスーパーカーピロウズ系の)楽曲・・・しびれずぎてもう感服だった。LAMAも電気グルーヴもそうだけど牛尾さんの作る音好きすぎる・・・

あとは東山奈央さんだ。響けユーフォニアムの時点での黒沢ともよさんがそうだったように、よりリアルで生々しい発声。キャラなのに生々しくて、口調に表情がバッチリきていた。神のみぞ知るセカイから東山奈央さんを見てきた自分からすると驚きが隠せない。声色はなおぼうそのものなのに、なぜこんなにも生々しく聞こえるのか・・・それくらい惹き込まれた。

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私は希美のような女の子がとてつもなく好きです。なんていうかセイです。

親友への嫉妬、無理して笑う感じとかたまらないです。

この作品はリズも青い鳥も完全にみぞれの物語だったと思いますが、最も繊細に描かれていたのは希美だったと思います。

 

ー 作品を制作していくうえで、どういった部分に特に気を配られたのでしょうか。

 

この作品は繊細な心情、心の積み重ねが重要なので、「悲しいから悲しい表情をする」と言う風に記号的な芝居付けをしないよう気を付けました。
たとえばフルートの希美は、口のはじを上げて目をほそめることで相手には笑っていると認識される。というようなことを考えている子なのですが、裏を返せば「わらう」ことをして、相手と自分の間にある距離を取り繕っているわけで。そのようなことを思いながら一歩一歩日々を積み上げている彼女たちの尊厳を守れるよう、表現の近道を選ばないことが大切な事でした。/公式ウェブサイト 監督インタビューより

 

ー そういった難しい芝居に、スタッフの戸惑いはありましたか?

私が想像していたような戸惑いはありませんでした。繊細で丁寧に積み上げる作業を得意とするスタッフが揃っているので、この作品が進もうとしている方向については有意義な打ち合わせができたと思います。例えば会話の芝居だと、ひとつひとつのやりとりがその人たちの「初めて」であることが大切だな、とか。人が話して、それを聞いて、咀嚼して、理解して、答えを返す。みたいな、普通の会話を目指しました。

/公式ウェブサイト 監督インタビューより

 

 

公式サイトの山田尚子監督のインタビュー最高なんでこちらもぜひオススメします・・・

 

 

そんなわけで、ユーフォ本編とはまた違う形の少女の素晴らしい物語を見ることができて感動しました。ちょっとほとぼり冷めてから見てしまった上にリアルで周りに見ている人一人もいないので、是非感想を言い合える方がいたらうれしいです。

あんだけ百合!とか言うの好きじゃないとかいいつつ、のぞ×りり本期待してます。

 

すがゆうでした