むいていない2
僕は外食にむいていないと思う。
僕は繊細すぎるのかもしれない。
なぜそう思うかといえば今日のこと
ある新潟の人気ラーメン店へ行った際に
あくまで個人的にだが
「こういう客いると本当イライラする」
と思ってしまうようなタイプのお客が
ジャンル分けにして4タイプくらい同時に混在していたからだ。個人的には発狂してしまうのでは?と思うほどに嫌だったのでここに記したいと思う。
今朝。奥さんと「今日は何を食べよう?」と話しているとやはりラーメンという選択肢が出てきた。僕も奥さんもラーメンがとても好きなので、出かける際にラーメンを食べる確率はとても高い。
奥さんは
「燕三条系の背脂ラーメンが食べたい」
とのこと。
ではせっかくだし「滋魂」にしよう。
滋魂は新潟市内で燕三条系の本格的ラーメンが食べられて、それでいて独自の進化を遂げているとてもおいしいお店だ。
だからかどうかはわからないが食べログでも新潟市内1位という人気店で、基本的に休日はいつ行っても行列は免れない。
なので開店と同時のタイミングを狙って早めにいくことにした。
一部の魅力的例外を除いて、食べログでの評価を僕は割と気にしている。「食べログ3.5以上のお店を選べば味的にも接客的にも大ハズレすることはない」という理論を自分も経験則から信用している。
食べログに左右されることのダサさもわかるが、僕は確固たる「ここ」が無い場合の選択肢においては美味しいお店へ行ける率が上がる方が嬉しいので食べログは見る。
都内でも食べログの数値が高いお店へ足を運ぶと、そこそこ待つことも多いが結果行ってよかったと思うことの方が多かった。
しかし
食べログとはみんな見ているもので、
ある程度高くなるほど客の種類も増える。
僕たちは「ある一定基準を越える味と接客」
これは選ぶことができるが、
そこに集まる客の質までは選ぶことができないし、人気店になればなるほどその質は下がる。
それが今回巡り合ってしまった、クソ+クソ+クソのロイヤルストレートフラッシュだったのだから悲しい限りだ。
僕は20代の頃飲食店でのキッチンの仕事の経験がそこそこあり、奥さんもアパレルの接客業出身なので、「クソ客」へのアンテナが敏感で、自分たちもそうならないよう日々店員さんへのリスペクト忘れず、気をつけて過ごしているつもりだ。
僕と奥さんは11:00オープンのところ10:45に到着。すでに入り口の周りには待っている人が点在していたが、案内待ちリストに名前と人数を書いて、1番まともに順番待ちしている男性の後ろに並んだ。
新潟の飲食店はあまり行列ができない。
「名前を書いて呼ばれるまでそれぞれ待つ」
というスタイルが一般的だ。
新潟の人間は行列の作り方を知らないと僕は思っている。
入り口付近にざっくばらんに溜まる。
これが面白いもんで名前を書かずに先頭から案内する店、もしくはコンビニのレジでもそうなることが多い。
そんな経験に辟易した僕は
行列ができない仕組みなのではなく、
県民に列で待つ能力が無いと判断した。
僕はまずこれが嫌いだ。
アジア某国のバスの待合い風景をテレビで観て馬鹿にするくせに、自分達もそれができない。
規律重視などではなく、すこし頭を使えばわかるはずだ。通行の邪魔にもなるし、どの順番なのかわからなくなる。非効率的だ。
これを「おおらか」というならそれもいい
しかし
「おおらかさ故」とするならば有り得ないような傍若無人な客もいる。
10:50、開店まであと10分だ。外は少し肌寒かったが実際この店は名前を書いた順に案内されるので車で待っていても別によかったが、僕と奥さんは気分込みでそのラーメン屋の前で待っていた。
すると待合いの1組のファミリーの母親がなにやら扉の前でイライラとしている。
そして何をするかと思えば急に開店前の店内に入り、何か思ったがすぐに出てきた。
トイレでも借りに行ったのか?
僕はそう思っていると、ブツブツと家族に愚痴をこぼしている。聞きたくもなかったが、周りにも聞こえるほどの大声だったので耳に入ってきた言葉に耳を疑った。
「席空いてるんだから、中で待たせてもらってもいいじゃんね?おかしいよこの店」
これはこれはヤバイ人間がいたもんだ。
そもそも僕は大人向けのこってりなラーメン屋に子供を連れてくる親が嫌いだ。新潟はファミリーでラーメン屋へ行くことが割とメジャーな県民性で、カウンターのみのラーメン屋というのはほとんど存在しない。
その店はかなりこってりな背脂ラーメンがメインの店であり、しかもそこそこな待ち時間になることはわかり切っているため、そこにファミリーで来る時点から割と気分が悪かったにもかかわらず、
さらにこの発言で
行列不要な県民性の一枚看板
「おおらかが故に」は崩壊した。
これが開店後の待合いでなされる話なら接客に少し思うこともあるが、今は開店前だ。
店側が「皆平等に順番に案内するための準備」をしている時間だ。ましてやウイルス問題で1番衛生的にもシビアなタイミングだ。そんなこと普通の人間なら誰でも想像可能な話だ。
しかしここで店員さんが1人外に出て待ち状況を確認しに来たところ、すかさずその母親が噛み付いた。
「あの、外寒いんですよ。子供もいるし中で待てませんか?席あいてますよね?」
店員さんは落ち着いた様子で
「すみませんがまだ開店前なのでご案内はできないんですよ。先着順ではないのでお車等で暖を取られてお時間までお待ちいただいてはいかがでしょうか。お席はご用意しておきますので。」
100点の対応である。
開店時間も公表しているラーメン屋に勝手に開店前に来て、
「寒いから中で待たせろ。」
「準備とか知らん。」
「席あいてるだろ。」
こいつの頭がイカれてることに関しては誰もが同意見だろう。これに何も言わない父親も問題だが、結局そのファミリーはその後も屋外で待ち、母親はギリギリまでブツブツと周りに聞こえる音量で愚痴を吐いている。
この世で1番関わりたくない人種だ。
11:00開店し、先ほどの店員さんが待ちリストを上から1組ずつ中へ案内していった。
しかしその母親は案内される前からぐいぐいと店内に入ろうとする。父親も止めない。子供は困っていた。
店員さんが適度に入り口を塞ぎつつ、なんとかそのファミリーまでを案内しきり、やっとのことでそのファミリーは入店した。
これはルールやマナーなどの次元ではなく
お客様は神様論の範疇でも無い。
本能で動くただの自分勝手なクソザルの対処の話だ。
夕方のニュースで民家に侵入して警察が手を焼いて20人がかりで保護するサルのニュース。
ほぼそれと変わらない。
「規律なんていうものは人間が決めたもので、むしろ彼らの住む世界を僕らが狭めてしまったんですよ」
ということだ。
令和タヌキ合戦ぽんぽこなのだ。
幸運にもこのファミリーとは遠い席を案内された僕らも注文することに。
しかし
上に書いた通り先ほどのクソファミリーは
「こういった客がいるとイライラする」
の1パターンにすぎず、この後僕はまだまだイライラすることとなる。
まず奥さんと楽しみにラーメンを待っていると
奥の方から会話とは違う謎の音声が聞こえてくる。目をやると若い二人組がスマホで音を出してTiktokを見ていた。
僕は昔から、公衆の場や飲食店でスマホから音を出している人が嫌いだ。その音が不快かどうかではなく、配慮の無さに落胆するのだ。
そして次に左隣の夫婦、
夫が注文後に店員を再度呼び
「あの〜。僕が頼んだラーメン、背脂を『鬼アブラ』にしてもらっていいっすか??」
と言い出した。
店員さんは「その1段階下の『大アブラ』でもかなりのアブラで丼一面真っ白な感じなんですけど…『鬼アブラ』にされます?」と答えた。
するとその夫は恥ずかしそうに「あ…じゃあその『大アブラ』で…」と答えた。
そしてそのあと妻に「たぶん食えるけどね。まあまず今回はこのくらいにしておくか…ふぅ」とイキるイキる。
僕はラーメン二郎をこよなく愛しているので知っている。こういうイキリ野郎は背脂を食べたいのではなく、背脂をたくさん食べる自分を見せたいだけなのだ。とても嫌いなタイプだ。
そして右隣は先ほどとは違うファミリーだった。子供がスマホでYouTubeを音出しで見ている。それを注意しない両親にも心底呆れるが、最近はスマホを持たせないと泣き止まない子供がいるというのも聞くのでまあ仕方ないかと思っていると、子供のために取り皿が欲しかった父親が店員さんを呼ぶ
「あのさ、子供用の取り皿とかある?1枚もらってもいい?」
きました
僕が大嫌いな「タメ口おじさん」だ。
タメ口おじさんとは
「お客様の見た目が自分以下だと思われる場合は店員にタメ口を聞いてもいい」と思っている思い上がりの強いうんこ人間だ。
初対面だろ?
この人がお前と家族のメシ運んでくれなかったら食べられないんだぞ?
お前急に初対面からタメ口で話しかけられて気持ちよく仕事できんのか?
この日僕は他種のクソな客と出会った。
①開店前に無理矢理中で待たせろと強要する家族の母親
②飲食店の店内で他人には耳障りなTikTokを平気で鳴らせる若者
③妻にイキる夫
④子供に音出しでYouTubeを見せ、店員にタメ口を聞く父親
⑤それに舌打ちする僕
クソ客界のアベンジャーズがここに集結した。
なかなかない邂逅だがそれを感じ取っていたのはたぶん僕だけで、過剰にイライラしていたのも僕だけだろう。
こうなるともはや僕もクソ客だろう。
クソ客でいいよ。
こういった出来事で割と美味しく感じなくなってしまうほどならそもそも人気店に行かなければいいわけで。
僕が間違っている。
気が短いという意見もあると思う。
何より僕の奥さんに申し訳なかった。
けど思ってしまうんだ
東京にいる頃は遊ぶ街も行くお店も、あまりファミリーとあたりづらい場所を選べたし、そうしていたので気になるのはきゃっきゃうるさい若者くらいのもんだった。
新潟は若者向けな味付けや雰囲気のお店にも平気でファミリーや老人が入店したり、そこで無茶な注文をしているのを見かけることがある。
回転が命のラーメン屋で、何人も待っているのに食べ終わってしばらく退店しないファミリーとかもよく当たる。
これは田舎あるあるで、新潟だけのことではないのかもしれないが。
そりゃトイレットペーパーも買い占めるわな
ここにいるやつ全員自分のことしか考えられない奴なんだ。
ラーメンは美味しかった。
花椒が効いた豚骨味噌。
人気店なのも頷ける。
しかしこの日僕は思いもよらない心のダメージを負った。このラーメン屋さんには当分行かないと思う。
僕はたぶん外食に向いていない。
個を消してサラリーマンなどが単身で訪れるようなお店を中心に行くべきなのだ。
それかそれをかき消すほどの圧を与えるラーメン二郎。とはいえ二郎ですら新潟店は列形成が曖昧でイライラするけど。
あ。だめじゃん
またイライラしてるわ
僕外食向いてないわ
もうダメだ
クソして寝る